あまみやのゲームプランナーブログ

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ゲームを作るのっていくらかかるの?【コンシューマーゲーム編】

こんにちは、あまみやです。

最近は年末ということもあり、数多くの大作ゲームが発売されていますね。コンシューマーゲームソーシャルゲームでは、「○○万本突破!」や「○○万DL突破!」といった広告をよく見かけると思います。そこで今回は、コンシューマーゲームで売れている作品を作るのに、どのくらいお金がかかっているのか考えていこうと思います。ソーシャルゲーム編は、次回の記事でお伝えさせていただこうと思います!

コンシューマーゲームソーシャルゲームとは?

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まず、ゲームは主に2つのプラットフォームに分けられます。コンシューマーゲームと、ソーシャルゲームです。

コンシューマーゲームとは、いわゆるニンテンドースイッチPlayStationなどで発売されているゲームソフトの事です。コンシューマーゲームは、ゲームをプレイする前に○○円で買ってもらうというシステムを取っている事が多いです。

ソーシャルゲームとは、AppStoreやGooglePlayなどで販売されているゲームアプリの事です。ソーシャルゲームは、無料でゲームを始められるシステムを取っている事が多いです。スマホがあれば誰でも無料で始められますが、お金を追加で払うことで、良いアイテムや装備をゲットできる可能性が上がります。

コンシューマーゲームの制作費

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コンシューマーゲームで今1番話題の大作と言えばこのゲーム、「Cyberpunk 2077」(以下、サイバーパンク)だと思います!このゲームは、2077年の近未来を舞台にしたオープンワールドRPGです。

サイバーパンクは、ポーランドの制作会社「CD PROJEKT RED」が8年かけて制作した超大作ゲームソフトです。ではこの作品を作るのに、いくらかかっているのでしょうか?


サイバーパンクの制作費は3.14億ドルです。
nintendosmash.com


1ドル100円で計算すると、314億円となります。
この制作費には、広告費やマーケティング費も含まれているそうです。では、この314億円の内訳はどうなっているのか、推測してみようと思います。

人件費

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まず、ゲームを作るためには人が必要です。Wikipediaによると、CD PROJEKT REDの従業員数は600人だそうです。また、Glassdoorという求人サイトによると、彼らの平均年収は約100,000ポーランドズローティーだそうです。これは日本円に換算すると、約280万円となります。ポーランドの物価は日本よりかなり安いらしく、この給料でも普通に生活できているのだと思われます。従業員全員が8年間継続的に制作へ従事していたとすると、

人件費 = 600 × 2,800,000 × 8 = 134億円

となります。ただ、CD PROJEKT REDは5年前まで、「Witcher 3」という別作品の制作に注力していました。そのため、サイバーパンクの制作にかかった従業員数と制作期間は、134億円より少ないと推測されます。

人件費以外の開発費

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人件費以外で開発にかかるお金は何があるのでしょうか?

  • 開発機材費
  • 設備投資費
  • 外注費
  • サーバー維持費

などが考えられます。
「ゲームの開発機材って高いんじゃない?」と思われる方も多いと思いますが、実際はこれら全ての費用を足しても、人件費に及ぶことはほぼありません。

こちらの記事で、サイバーステップさんにおけるゲーム開発費の内訳を見ることができます。こちらをご覧いただくと分かる通り、ゲーム開発費のほとんどは人件費で構成されています。

サイバーパンクでも人件費が開発費の3分の2を占めていると仮定すると、

人件費以外の開発費 = 134億円 ÷ 2 = 67億円

となります。つまり、

開発費 = 人件費 + その他費用 = 134億円 + 67億円 = 201億円

程度ではないでしょうか。

広告費

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では、残りの113億円は何に使ってるんだと思われるかもしれませんが、これはおそらく広告費に充てられていると思います。

どんなに面白いゲームを作っても、お客さんに知ってもらえなければ、ゲームを遊んでもらうことはできません。それどころか、開発に201億円もかかっているので、201億円以上の売上を上げなければ、次回作が作れなくなってしまいます。
そのため、広告や宣伝にこれだけ多くの費用がかかるのだと思います。


サイバーパンクのソフト単価は、国によってばらつきがありますが、だいたい50ユーロや60ドルあたりとなっています。つまり、1本ソフトが売れると6000円の売上となります。
そこから、売上の3割をプラットフォーマーPlayStationやSteamなど)が手数料として収得します。つまり、

サイバーパンクが1本売れるごとにCD PROJEKT REDに入るお金 = 6000 × 0.7 = 4200円

となります。
そこから、ゲームパッケージの配送費なども引かれていくため、サイバーパンクが1本売れるごとにCD PROJEKT REDに入る金額は、4000円程度だと推測されます。


サイバーパンクの制作には314億円かかっており、ソフトを1本売っても4000円しかCD PROJEKT REDには入ってきません。この膨大な制作費を回収するために必要な販売本数を計算してみると、

利益を出すのに必要な最低販売本数 = 314億円 ÷ 4000 = 785万本

ということが推測できます。


CD PROJEKT REDは、「サイバーパンクが800万本予約され、制作費を回収した」と発表していましたので、この計算はさほど遠くないのではないかと思います。

つまり、広告費に113億円かける事によって制作費を回収できているため、広告費に113億円は妥当な金額なのではないでしょうか。

まとめ

ゲームを作るのにどれくらいのお金がかかるのか、今回の記事で多少実感が湧いてもらえれば嬉しいです。

コンシューマーゲームにおいては、制作費の大部分を人件費広告費が占めていることが多いです。ゲーム会社は、ソフトの売上と制作費を天秤にかけつつ、セールを行ったりCMを流したりしています。今回の記事をきっかけに、セールやCMを観察してみると、新たな気づきが得られるかもしれないですね!


次回はソーシャルゲーム編です!
ソーシャルゲームコンシューマーゲームでは、制作にかかる金額も制作費の内訳も全く異なります。では、またお楽しみに!